Smiley face

 愛媛県のまどかさん(仮名、22)が医療従事者を志すようになったのは、10歳のころ。母が、がんで亡くなってからだった。

 勉強が好きで、得意だった。だが、勉強だけに打ち込めない理由があった。

 母の死後、父はうつ病になって休職。まどかさんや姉に、暴言を吐くようになった。

 児童相談所に一時保護されたこともある。将来は大学に進学したいと考えていたが、「学費は出さない」と父から言われた。

 「こつこつお金をためて、何としても大学に行く」。高校に入学するとき、そう決めた。

写真・図版
卒業研究をするまどかさん=本人提供

 授業が終わると、自宅近くのコンビニへ向かった。1日4時間のアルバイトを、ほぼ毎日こなした。

 だが、多いときには月8万円ほどになったアルバイト代は、父から十分に出してもらえなかった食費などの生活費に消えた。

 数学が得意で、学年1位になったこともある。バイトがなければ、勉強に専念して、もっと難関大学をめざせるのに――。そんな悔しさがつのった。

突然打ち切られ、バイト掛け持ちに

 「奨学金」という言葉を耳に…

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